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世界恐慌などというヒステリー症候群 2  ハルマゲドンの到来か(笑

不景気の様相が深刻化している。サブプライム問題は不動産をテコに格付け会社を抱き込み世界中に証券化した債権を売りつけた米の詐欺的な手法が明らかになってきているが結局、そのツケは世界中の人が払わされるのだろう。

債権の証券化と格付けなどという手法に惑わされたわけだ。

では何故2008年の春に全米5位のベアー・スターンズは救済され秋口に4位のリーマンは潰されたのだろうと気合いを入れて調べたら背筋が凍り付くようなハルマゲドン的な様相が見え隠れしてきた。

デリバティブである。俗に金融派生商品と言われるものだがあらゆるものを証券化し更にその証券を集めて更に証券化することで資金の調達とリスクの分散を行うことができるというふれこみでバブルには格好のテコの効いたシステムである。つまり元々自己増殖して拡大する性質を持つ。

世界の株式市場や債券市場を合わせても約8000兆円、為替や商品市場、その他を合わせても1京5〜6000兆程度なのに対してデリバティブの想定元本は4〜8京円あるのではないかと推定されている。なぜ推定かと言うと相対の個別取引が主で流動性がなく市場取引ができるシステムにはなっていないからだ。そこに証券系のヘッジファンドや独立系のヘッジファンド、商業銀行の迂回融資(SIV)が目一杯に増殖させた金をつぎ込んだ。(さぞ気持ちが良かった事だろう(笑))

このモデルはテコとなる株式や債券市場、あるいはサブプライムの根幹である住宅市場の上昇が永遠に続けば問題はなかったがそうは問屋がおろさなかった(笑

そのためデリバティブのなかでも想定規模が5000兆円以上のCDSが大きな問題となって浮上してきた。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は一種の倒産保険である。買い手は契約した会社が倒産した場合だけ全額保証するというシステムとなっておりリスクが低く保証料をもらうことができると思われていた。さらに多数のCDSを組み込んだCDO(債務担保証券)は通常数十から100以上の会社を組み入れリスク分散をする仕組みになっている。5〜15社/100社が倒産したら全額負担(分子や分母は契約による)ということだが様々なバリエーションが存在するからややこしい。

このCDSの引受の60%はヘッジファンドと言われている。ヘッジファンドの運用資金額は全世界で170〜200兆円とされているがAIG保険の損失額から逆算して1000兆円以上の損失がCDS全体で膨らんでいるだろうと推測する向きもある。つまり引受の%からみてヘッジファンドは600兆円以上の損失と言う話になる。(即ハルマゲドンだ)

また商業銀行の迂回融資の不透明性を明らかにするために2008年のG7では時価会計とSIVの連結化が提案されたが結果的に時価会計の凍結となった。明らかになると即ハルマゲドンが到来するからだと思うのは考え過ぎか?(笑

問題の本質は販売当初にリスクがないと思われてきたダブルA格付けクラスのCDOのドボンが増加していることである(倒産が増加しているのである)これを裏付けるようにメリル・リンチが売却したCDOは額面の5%だったという話がある。またトリプルAランクのCDOも現状では額面の30%台を維持するのがいっぱいということだ。景気の後退により倒産の増加が増えると読まれているのだろう。これではババ抜きのババではないか(笑)信じられない信用収縮がおこっているようだ。

リーマンブラザースのドボンはAIG保険(総資産110兆円)に即影響した。リーマンの債権をCDS市場で保証していたからだ。AIG保険は高格付けの会社だったためにリーマンを含めて50兆円の残高になる保証業務を行っていた。(CDS市場規模全体の1/100以下である)ところがサブプライム・ローンの価値減額が災いしてAIGの格下げがなされた。そこでリーマンの保証や元本返済の保証担保金の上積みのために資金繰りが急速に悪化した。そのため米国政府より9兆円の資金が投入されたわけだ。更に驚いたことにその2ヶ月後に6兆円の追加資金の投入を受けている。

AIGはトリプルAクラスの債権しか扱わないはずにもかかわらず(サブプライムも巧妙にCDOに組み込まれてトリプルAとして販売されていた)投入金額が尋常ではない。しかもAIGはデリバティブ(CDS)市場がヤバいと見て2005年に撤退しているのである。AIGにしてみればほんとんどの契約は5年ものとされているので2005年以降の5年間、つまり2010年までを凌げばすり抜けられると思っていたのかもしれない。逆に言うと2010年以降はヤバいという認識に立っていたということになる。

ところが意に反して2008年に保険料を支払うことができず、あやうく潰れかかった。とすると撤退しなかった他のヘッジファンドの状況はどうなっているのだろうと思いが広がる。つまり600兆円の損失と推定されるのはCDSの総市場が5000兆円以上と想定されるのに対してヘッジファンドは約60%を引き受けていると考えられているからで、その金額に控えめに見積もって今回のAIGの投入金額を損失額補填と見なせば損失総額で約600兆円と言う数字になってくる。もはや額が大き過ぎて地球上の先進国が束になってかかっても救済することが不可能になっていると考えられる。

ここに面白いレポートがある。2008年の10月にイングランド銀行が発表した「金融安定化報告」である。この時点で米英欧の金融機関損失が2兆8千億ドルと推定していることである。金融危機以前の自己資本は3兆4千億ドルとされていたので80%以上の資本が失われたことになる。ということはすでにドボンしていると等しいと言う話になる。この数字は傘下の迂回融資先のSIVの損失は含まれていない。これでは時価会計の凍結と言う政治的な判断は過去日本に対して行われた処理に対する感情は別にしてしかたがないとの思いがする。(公表したらハルマゲドン(笑))このレポートの意味する所は米英欧の金融機関では今回の事態を収拾する力がないということである。とても損失総額が1000兆円と推定される債務に対応出来るわけがない。これを責任のある中央銀行が発表したとは今でも信じられない思いだ。

どうやら長い導火線に火がついたのが見えるような気がする。GMやGMでなくともどこぞの聞いたこともないような会社の倒産が原因でハルマゲドンというシナリオが現実味を帯びるからだ。ベアー・スターンズとリーマンの違いはCDSの入れ込み方の違いだというのが拙の独断的な解釈だがCDSの入れ込みが少なかったリーマンですらあれだけの激震を世界にあたえた。これ以上の激震があったとしたらFireSaleになると関係者の誰しもが感じていることだろう。

ガルブレイスはバブルにはテコがいると言った。もちろん前提として強欲があるとしてだろう。資本主義は強欲を助長するシステムでもあるということだ。それは歴史を遡って検証すると理解出来るだろう。しかし今回のは凄い(笑)運悪くハルマゲドンが到来したならば世界的な規模でお金の付随する機能を見直す機運がまきおこるだろう。凄すぎて、ひどすぎるからだ。証券などの投資に使う金と家庭等の消費に使う金を一緒にしてしまっていいのかという議論が顕著になるだろう。

ある日突然などというシャレにもならない状況を想定するのもなんだがサブプライム問題なんてママゴトだったねという話は勘弁してもらいたいものだ。もっともわかっていても目の前で起こることが止められないことがある。今回は100年に1度と言う時期に巡り会わせたという事だが何と言うか複雑な心境だ。もっとも世界を救うのも最終的には日本の技術だと言う確信はある。

野坂昭如 氏的なのりで誰か「平成ハルマゲドン音頭」を作らんかと期待している。きついシャレの効いた音頭で、もやもやを吹き飛ばしたいものである(爆