
気持ちの悪い余震が続いている。そこで本日は予定を変更して大阪府泉南郡熊取町にある京都大学原子炉実験所をお届けする。

東日本大震災の地震と津波が原因で全電源が消失したことにより福島第一原発が壊滅的な被害を受けてから、まだ1年ちょっとしか経過していない。当時を振り返ると東日本の放射能被害の実相は群馬大学の早川由紀夫教授が4月21日(2011年)に作成した放射能の広がり地図の初版が発表されるまでは東日本に対する視覚的な被害分布状況がわからなかった(この精力的な仕事に感謝する人は多かっただろう)
最新の早川教授の放射能汚染地図(六訂版)は
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-473.html#comment2534
汚染ルートとタイミング(9月30日改訂)
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-430.html
被害状況が見えて来たことでやはり気になるのがチェルノブイリ事故に遭遇したソビエト共産党の対策とその後の経緯であった。何も日本人がソビエトの人よりも放射能に対する耐性が強いわけではない。チェルノブイリで起きたことは日本でも起こると考えた方が理にかなっている。(放射能防御プロジェクトの木下黄太 氏は一貫してこの立場である)
そこで検索を重ねると京都大学原子炉実験所の今中哲二助教の「ロシアにおける法的取り組みと影響研究の概要」と原子力安全グループのチェルノブイリ新聞切り抜き帖(1988.2〜)が出て来た。
ロシアにおける法的取り組みと影響研究の概要
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Ryb95-J.html
チェルノブイリ新聞切り抜き帖(1988.2〜)
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/cher-2index.html
東日本大震災以前のエネルギー政策は原子力政策を推進し二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーの原発(いま聞けば冗談のようなスローガンだが)の発電総量を50%まで引き上げるのを国策としていた。ところが今中哲二助教が加わっている原子力安全グループは一貫して「原子力をやめることに役に立つ研究」をおこなっており、いわゆる熊取六人組と呼ばれる原子力利用の危険性について研究し、追究し続けてきたグループであった。
なぜ警告を続けるのか〜京大原子炉実験所・”異端”の研究者たち〜
http://video.google.com/videoplay?docid=2967840354475600719
ここに京都大学の学問の自由を優先する懐の深さをみる。1933年に京大で発生した思想弾圧事件である滝川事件(京大事件)の教訓を生かしている等と云々するつもりはないが、最重要国策に対する対抗軸の研究を容認するという他の官立大学ではありえない校風が京都大学にあるようだ(もっとも安全グループは科学とは離れた政治力が要求される研究予算の獲得や出世などとは程遠い環境であることは推測される)
そこで滞在していた和泉市から近いこともあり熊取町に出かけてみた(関西空港の反対側と言った方がイメージしやすいかもしれない)広報の担当者の方は茨城から来ましたという当方の話に驚いたようで構内はさすがに差し障りがあるが構外から撮影するには問題ありませんとの了承をいただいた。筆者的には撮影以前にどのような場所か見てみたかった。日の当たりにくい原子力安全グループの地道な研究活動により熊取は脱原発の聖地のような趣に世間の評価が変わりつつあるのが感じられたからである。
チェルノブイリ事故の経緯を新聞切り抜き帖を見る限り、当初は除染活動が主流であったようだが次第に土壌汚染に重きがおかれる推移を示しており強制移住地域などの具体的な数値が時間をかけて確定されている。これは政治的な判断が現実的な健康被害や健康被害の恐れに対して責任を取りかねる状況が顕著になってきため数値の変更がされたと筆者は思っている。
2012年3月25日に福島大学 環境計画研究室では放射線と被ばくの問題を考えるための副読本を発表している。副題として〜“減思 力”を防ぎ,判断力・批判力を 育はぐくむために〜 と発表されたこの副読本は福島大学の教員有志により作られた本だとアナウンスされている。これが非常に優れもので一読をお勧めする。情報を鵜呑みにせずに自分の頭で判断するための道しるべとして参考になると思う。
放射線と被ばくの問題を考えるための副読本
https://www.ad.ipc.fukushima-u.ac.jp/~a067/
リスクと正しく向き合う姿勢こそ偽情報に対抗して行く方法論であるということが上記の副読本から示唆を受ける。
それでは現在は土壌汚染問題が問題の核心なのだろうか。実は様相を変えた危機が潜んでいる。ここがチェルノブイリと福島の事故との大きな違いではないかと筆者は感じている。筆者的には継続している余震が最悪の場合、M8~M9.2と想定される東日本アウターライズ地震の前兆であるとの見解が非常に気になっている。
NPO法人国際地震予知研究会
http://iaep.sakura.ne.jp/
相次ぐ地震 今後の活動は?(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/0315.html
週刊誌でも何回か取り上げられている国際地震予知研究会の予測の方法は大気重力波の観察を行って発生場所の日時や場所を推測するもので恐ろしいほどの的中実績がある。その実績から恐らく日本で初めての会員制地震予測情報の配信を開始したのではないかと思う。国際地震予知研究会は社会的責任として非常に大きな被害が発生する可能性がある予測は一般公開するという立場である(アウターライズ地震発生のカウントは始まったとのアナウンスが流されウォッチャーの間に衝撃が走った)
さてそのクラスの地震が発生したらどうなるのかというと今回の想定は高角度の正断層なので、断層の落差が、3.11の時のおそらく2倍以上になるという発表が行われている。この発表の意味する所は津波の高さが2倍となるということだ。そして震源域は千葉県東方沖から青森県までの東300数十kmの太平洋プレート上と見ている。となると想像力を働かせなくとも僅か数十センチメートルの差で津波の難を逃れた茨城県の東海第2原発はどうなるのだろうか、また巨大地震は揺れの継続時間が長く福島第一原発の4号路のプール建家は倒壊の危険性はないのだろうかとの疑念が自然に湧いてくる。
原子力安全グループに属している京都大学原子炉実験所の小出裕章助教の見解は明快で「4号機燃料プールが崩壊すれば、おしまいです」と述べている。
小出裕章:4号機燃料プールが崩壊すれば日本は"おしまい"です
http://www.youtube.com/watch?v=CezLuBZqd8U
つまり、チェルノブイリと違い原発推進も反原発も、脱原発も、あるいは土壌汚染問題も全てが吹き飛んでしまい、日本全域に人間が入り込む余地のない放射能汚染域が生まれるかもしれない危機的な状況がまだ克服されていない事を不承不承ながら認めなければならない時期にいるのである。
次回は、このコラムに関連して平成24年茨城県議会第一回定例会より政府・県の危機管理体制についての質疑応答の模様をアップする予定。